
- 元幼稚園教諭
- 元小・中・高生の家庭教師
- 小中学生二児の母
- 子どものころから本が大好き
- 子どもが「本」と仲良くなれる方法を発信中
- 「楽しく学ぶ」をモットーに様々なツールを使って子どもと学習中
Gakkenから刊行されている『10歳までに読みたい世界名作』シリーズ。
- 子どもに名作を読んで欲しい!
- 子どもに名作を読んで欲しいが、原作(完訳)でなくても良いのだろうか?
- 原作(完訳)との違いは?
- 対象年齢はどれくらい?
という方に向けて、海外小説・児童文学が大好きな私が、
『10歳までに読みたい世界名作』シリーズについてレビューします。

私は原作も読んでいますので、その上でしっかりとレビューしていきますよ!
※当ブログはアフィリエイトプログラムに参加しています。内容は個人の感想で構成しています。
『10歳までに読みたい世界名作』シリーズとは?
概要
Gakkenから刊行されているシリーズで、原作を完訳したものではなく、子どもが読みやすいようにお話を短くまとめています。
ただ、原作の雰囲気や大筋を変えることなく、大事なエッセンスはしっかり残し、あくまでも原作に忠実にまとめられている印象です。
特徴
大きく3つの特徴があります。
- 巻頭の「物語ナビ」
- アニメーション風のオールカラーイラスト
- 一章が短くまとめられている
一つずつ簡単に紹介します。
巻頭の「物語ナビ」がすごい!
これは想像以上の情報量で、原作を読んだ私もワクワクしました♪
物語の舞台となったお屋敷や船などの構造や内部の様子、地図などがしかけ絵本のように大きく広げられるページで楽しめるようになっています。
想像で楽しんだ世界が色彩豊かに視覚化されてワクワクします。

本の好みがはっきりしていて、普通だったらこの物語を手に取らないであろう息子も、『海底二万マイル』の巻頭のノーチラス号の構造紹介に興味を惹かれて読み始めましたよ。
アニメーションオールカラーイラストがすごい!
子どもが手に取りたくなるようなかわいい&かっこいいイラストが4ページに一枚は出てきます。
といっても、決して進行に邪魔になる程ではありません。
海外小説で時代も舞台も知らない所というと、想像するのが難しい場合がありますよね。
それを助けてくれる印象です。
一章が短くまとめられていてすごい!
ものによってはとても長い原作が、雰囲気を壊さずに短くまとめられていることに驚いています。
素晴らしい!
我が家では寝る前に読み聞かせをしましたが、音読して一章読むのに5分から10分程度。
ちょうど良い長さでした。
学校の朝読書にもちょうど良い雰囲気だと思います。
既刊本
2025年5月現在、以下のお話が刊行されています。
- 赤毛のアン
- トム・ソーヤの冒険
- オズの魔法使い
- ガリバー旅行記
- 若草物語
- 名探偵シャーロックホームズ
- 小公女セーラ
- シートン動物記「オオカミ王ロボ」
- アルプスの少女ハイジ
- 西遊記
- ふしぎの国のアリス
- 怪盗アルセーヌ・ルパン
- ひみつの花園
- 宝島
- あしながおじさん
- アラビアンナイト シンドバッドの冒険
- 少女ポリアンナ
- ロビンソン・クルーソー
- フランダースの犬
- 岩くつ王
- 家なき子
- 三銃士
- 王子とこじき
- 海底二万マイル
- ナルニア国物語 ライオンと魔女
- 十五少年漂流記
- 長くつ下のピッピ
- ロスト・ワールド
- レ・ミゼラブル ああ無情
- 三国志
- ドリトル先生大航海記
原作(完訳)との違いはあるの?

原作はもっともっと長いので、カットされている部分がたくさんあります。
ただ、大筋は原作に忠実で、私個人としては原作が持つ雰囲気は壊れていないように感じます。
原作で起きる大事な事件や出来事はしっかり取り入れられており、一度原作を読んだ私自身が「こんな話だったな」と思い出すのにもちょうど良い塩梅です。
原作(完訳)を読まなくてもいいの?

原作(完訳)を読めるようになるのは中学生・高校生以降
私もかなり悩みました。完璧な原作(完訳)があるのに、短くまとめられたものを子どもに紹介して良いのだろうかと…。物語はある種作者の生み出した芸術だと思っているので…。
でも!数々の原作(完訳)と、このシリーズと両方読んでいる私の結論は…
「原作を読めるようになるまで待っていると、子どもが名作を読もうと思う機会は一生来ないかもしれない。だから、完訳でなくても良いから読ませてあげましょう!」
それで名作に触れる機会を逃すくらいなら、完訳ではなくても子どものためにわかりやすく、かつ大切に作られた本を与えてあげるのはとても良いことだと思います。

完訳が良いのでは、という私のこだわりのせいで、上の子は中学生になるまで自宅ではこのシリーズを読んできませんでした。中学生になって初めて読んで、「こんな話だったんだー!」と楽しんでいます♪
例として私の大好きなジュール・ヴェルヌの『海底二万マイル』の本シリーズと完訳原作とを比較してみました。原作、長いですよ~!

大事なことは、「原作(完訳)」があるということを知ること
このお話には、作者が書いた原作があるということ、そこには今読んだ以上のもっともっと深く複雑で楽しい世界があることを知らせてあげると良いと思います。
お子さんが中高生になって、このお話をもっと知りたいと思ったときに原作の存在を知っていれば、手に取るきっかけになるはずです。
『10歳までに読みたい世界名作』対象年齢は?

10歳までに、と銘打っていますので、小学校低学年の子から楽しめるように作られています。
字も大きく、フリガナつきで一人でも読めるように出来ていますが、低学年のお子さんなら読み聞かせをしてあげるのもおすすめです。

我が子は、読み始めが遅くて11歳と13歳でしたが、抵抗なく読んでいましたよ♪
「角川つばさ文庫」「講談社青い鳥文庫」「集英社みらい文庫」「岩波少年文庫」など児童向けレーベルからも、小学生向きに名作が刊行されています。
そちらと比べると本自体も大きく、内容もコンパクトですが、気軽に手に取れるのが良いところ。
時間があまりない子や、普段本を読まない子は、年齢にとらわれずにこちらのシリーズを入り口にするのも良いですね。

10歳までに、となっていますが、表現や言葉遣いが幼すぎる印象は受けませんでした。
本シリーズと児童書レーベル、一般小説のサイズ比較をしてみました。

『10歳までに読みたい世界名作』子どもの反応
家にある原作は手に取らなかったが、この本は自分から手に取って読んでいました。
タイトルは聞いたことがあり興味があったが、原作はボリューミーで手に取るのに勇気がいるとのこと。
「こんな話だったんだ~!」と喜んでいました♪

他の物語も読んでみたい!と積極的♪
これを機に原作にも興味を持ち、読んでみようと意欲が湧いていましたよ。
冒頭の物語ナビをチラ見。手に取るだけでもすごい!
興味があるようなので、読み聞かせを実践したところ、毎晩楽しみに待つようになりました♪

「物語ナビ」はちょっとネタバレにもなるので、我が子は全部読んだ後に楽しむスタイルです。
おわりに

「名作を読んで欲しいけれど、子どもがなかなか読んでくれない」
よくあることだと思います。
国も時代も文化も違うお話を読むのは大変ですから。
読むのを躊躇してしまう高い敷居を取り払えるように、親しみあるイラストと楽しい工夫が満載のこのシリーズで、これまでたくさんの子どもたちに支持されてきた名作を味わうのはとても素敵なことだと思います。
単なる「あらすじ紹介」ではなく、子どもたちのために丁寧に訳された物語ですので、ぜひ安心してお子さんに読ませてあげてくださいね。
世界の名作児童文学のうち「冒険」小説を集めてこちらの記事で紹介しています。
