
- 元幼稚園教諭
- 元小・中・高生の家庭教師
- 小中学生二児の母
- 子どものころから本が大好き
- 子どもが「本」と仲良くなれる方法を発信中
- 「楽しく学ぶ」をモットーに様々なツールを使って子どもと学習中
夏休みの宿題や国語の授業で必要な読書感想文やPOP作り。
「何を読んだらいいのか分からない」
「書きやすい&読みやすい本が知りたい!」
「部活が忙しくてじっくり取り組む時間が無い!」
そんな中学生向けに【簡単に読めて】【考えさせられる】本を集めました。
読書感想文やPOP作りに注目すると書きやすい&作りやすいポイントも紹介していますので、参考にしてみてくださいね。
※当ブログはアフィリエイトプログラムに参加しています。内容は個人の感想で構成しています
- デトロイト美術館の奇跡 原田マハ 新潮文庫
- ある晴れた夏の朝 小手鞠るい 文春文庫
- 昔はおれと同い年だった田中さんとの友情 椰月美智子 双葉文庫
- くちぶえ番長 重松清 新潮文庫
- 妖怪アパートの幽雅な日常 香月日輪 講談社文庫
- クリスマス・キャロル ディケンズ 新潮文庫
- ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー ブレイディみかこ 新潮文庫
- 赤と青のガウン 彬子女王 PHP文庫
- 青い光が見えたから[16歳のフィンランド留学記] 高橋絵里香 著 講談社
- 13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海 田中孝幸 東洋経済
- 池上彰の君と考える戦争のない未来 池上彰 理論社
- もし世界が1つのクラスだったら 大橋弘佑・竹流・神野正史 文響社
- 学習まんが 世界の歴史18 集英社
- おわりに
デトロイト美術館の奇跡 原田マハ 新潮文庫
アメリカデトロイト市の財政破綻により、市美術館が所有するピカソやゴッホなど珠玉のコレクションを売却するという話が持ち上がります。
全米で論争が過熱する中、デトロイト美術館を愛した一人の老人の情熱と小さな一歩が大きなうねりを生み、運命が動き始めます。
美術館のコレクションは守られるのか、コレクションを愛する人たちの想いは届くのか、実話を基に描かれた感動の物語です。
実際にあったデトロイト美術館の売却話を元にしているため、現実味を持って自分の身の回りのことを思い浮かべながら読むことが出来ます。
美術館のコレクションを守りたい気持ちと、財政破綻によって脅かされている市民の生活とを、政治という大きな観点と、個人の想いという小さな観点で考えて自分の意見を述べるのも面白そうです。
政治、美術、個人の思い出など、注目する観点がたくさんあり、読書感想文の書きやすい作品です。
ページ数が120ページと短く、短時間で読めるのも嬉しいですね。
ある晴れた夏の朝 小手鞠るい 文春文庫
原爆が投下されてから数十年後、広島と長崎に原爆を投下したのは果たして正しかったのか。
原爆肯定派と否定派に分かれた討論会がアメリカで開かれます。
日系アメリカ人や中国系、ユダヤ系など8人の高校生が悩み考えながら、チーム力、リーダーシップ、リサーチ力、語彙力など自分たちの力のすべてを結集し、2チームに分かれて数日間に渡り白熱の論戦を繰り広げます。議論の先に見えたものとは。
ノンフィクションかと思うほどの臨場感あふれる物語で、ページ数も180ページほどと短く、
読書に慣れていない子でも非常に読みやすいです。
原爆投下が正しかったのか否かについて、日本に暮らしていると答えは一つのように感じますが、一度そこから離れてこの物語を読むと新たな視点に驚きの連続です。
自分だったらどんな主張やアプローチをするのか、結論に対してどう感じるのか、これからの未来に何を願うのか、自分に何が出来るのか。
考えたことを感想文に書きやすい作品です。
親子で読んで感想をシェアしあうのも良い学びになりそうですね。
昔はおれと同い年だった田中さんとの友情 椰月美智子 双葉文庫
小学6年生拓人が主人公。拓人はひょんなことから神社の管理人をしている85歳の田中さんと出会います。
とある出来事を通して田中さんと近しい関係になった拓人は、聞き上手で優しい田中さんの人柄に次第に惹かれていきます。なんと85歳と11歳の友情が始まったのです!
ある日、拓人は田中さんの部屋で自分と同い年くらいの年の田中さんの写真を見つけます。
当時の田中さんの戦争体験を聞いた拓人は、ある行動を起こすのですが…。
温かくてちょっと切ない。笑いどころもあるとても読みやすい物語です。田中さんの優しさを「マジで菩薩レベル」と表現するポップさがあります。
小学6年生が持つ大人や世間への違和感や反抗心も描かれていて、中学生もちょっと前を思い返しながら共感することがあるはず。
自分が拓人の立場ならどんな行動を起こすかや、戦争を経験した田中さんの物語に対して感じることなどを感想文に書くのも良さそうです。
くちぶえ番長 重松清 新潮文庫
今はもうおとなになったツヨシが小学生四年生の時のお話。
優等生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な女の子、マコトが転校してきます。転校早々に学校の番長になると宣言したマコトに、みんなはびっくり。マコトを嫌う女の子たちも出てきます。
でも、小さい頃にお父さんを亡くしたマコトは、誰よりも強く、優しく、友だち思いで、頼りになるとってもいいやつでした。ツヨシとマコト、二人が駆けぬけたたった一年間の友情物語です。
中学生の皆さんなら小学校の頃に出会っているはずの重松清さん。「カレーライス」覚えていませんか?
重松清さんの本は、言葉遣いが優しく、分かりやすくてとても読みやすいです。
登場人物たちの葛藤は、大人も子どもも共感することばかりで、読むとほっとしたり、勇気づけられたり。自分の価値観が育ってきている中学生なら、自分だったらどう考えるかなどを感想文に書きやすいと思います。
主人公は小学生なので、中学生の立場でアドバイスをするのも面白いかもしれませんね。
妖怪アパートの幽雅な日常 香月日輪 講談社文庫
13歳で両親を失った主人公稲葉夕士が高校入学と同時に入居したのは「妖怪アパート」。
妖怪アパートには、地下洞窟にこんこんと湧く共同浴場があり、とてつもなく美味しいご飯を作ってくれる手首だけの賄さんがいます。
摩訶不思議な場所で始まった夕士の高校生生活、果たして無事に一年を過ごすことができるのでしょうか?
主人公は重い背景を背負っていながら、明るくて素直な高校生。
彼の軽快さが物語をぐんと親しみやすく、読みやすくしてくれています。
文体も軽く、文字数が少ないため、普段読書をしない人にも読みやすいお話です。
人間である主人公と妖怪たちの温かな交流を見て感じることや、人間として自分が主人公の立場だったらどう考えるか、などを感想文にして述べると良いかもしれません。
ポップな文体ながら「命」を扱った物語なので、感じることや考えることも多いと思います。
クリスマス・キャロル ディケンズ 新潮文庫
ケチで冷酷で人間嫌いの主人公が、クリスマスイブの夜幽霊に連れられて知り合いの家を訪問します。
そこで自分の生きてきた過去・現在、そしてこれから待ち受けているであろう未来と向き合い、自分の生き方を見出していく物語です。
190ページほどの物語で短く読みやすいのが嬉しいポイント。
この話の中でとびきり嫌な奴として描かれている主人公ですが、彼の嫌な部分は、現代の社会に照らし合わせると多くの人が当たり前にしていることでもあります。
何でも無駄を省いて行動する、他人には干渉しない、建設的に考えて得を取るなど…。
主人公の嫌な部分を客観的に眺めながら、今一度自分や周囲のおとなを見返し考えたことを感想文に述べることが出来そうです。
ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー ブレイディみかこ 新潮文庫
イギリスに住む著者の長男が11歳で地元の中学校に入学してからの一年半が記されています。
人種も貧富の差も様々な地元の中学校で長男が目の当たりにした多様性。
葛藤を感じるたびに母子でともに悩み、考え乗り越えていく日々が綴られています。
学校生活や家庭での親子のやりとりが中心に記されているので、中学生にも読みやすく普段読書をしない子や、小説が苦手な子にもとても親しみやすいです。
日本でも多様性について学んだり実感したりする機会は増えましたが、まだまだ知らない世界がたくさんあるのだと実感させられるこの本。衝撃を受けることもたくさんあるでしょう。
自分と同年代の子がイギリスで感じていることや、イギリスの中学校のシステムなどと、
今の自分や自分を取り巻く環境を照らし合わせて感想文を書くのも面白そうです。
赤と青のガウン 彬子女王 PHP文庫
天皇陛下のはとこにあたる彬子女王がオックスフォード大学に留学していた日々が綴られた留学記です。
皇族の方が普段どのような生活を送っているのかを垣間見られ、留学記という側面以外にも興味が持てる作品です。
日本のプリンセスがイギリスでこんな体験をしていたのかと驚くエピソードや、自分と変わらない一人の人間なんだなと思うエピソードもあって、終始興味深い読書時間になるでしょう。
海外での学生生活や仕事を志している子はもちろん、そうでない子も、自分で目標を持ち慣れない環境で試行錯誤しながら生活されている彬子女王の奮闘ぶりに自分のこれからを重ね合わせることでしょう。
中学生でも読みやすく、自分の今や将来と照らし合わせながら感想文が書きやすい作品です。
青い光が見えたから[16歳のフィンランド留学記] 高橋絵里香 著 講談社
小4でムーミンの故郷フィンランドに憧れ、高校生からの留学を目指すも、留学目前の中学校生活で自分を見失い挫折を経験する著者。
そこからなんとか抜け出して16歳で単身フィンランドへ。
言葉も習慣も何もかも分からないところからスタートし、たくさんの人に支えられながら高校生活を送った著者の4年間の記録です。
著者が小中学生時代の話から始まるため、想像しやすく読みやすいです。
多感な時期に持つ大人への違和感や反感を記してあるため、中学生も共感しながら読むことができるでしょう。
日本の教育制度から抜け出し、全く新しい世界へ飛び込んだ著者の奮闘ぶりはおとなが読んでも尊敬と憧れを感じます。
これから自分の進路を選択していく中学生にとって、視野が広がるきっかけとなりそうです。
フィンランドの学校生活やフィンランド人の考え方なども含めて、中学生が今の自分や自分の置かれている環境などと比較して感想文を書きやすい作品です。
13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海 田中孝幸 東洋経済
兄妹のきょうだいが、町のアンティーク店のショーウィンドウで素敵な地球儀を発見します。
しかし、その店の店主は片目を眼帯で隠した不思議な男。
妹は彼のことを「カイゾクさん」と呼びます。
2人が興味津々で地球儀を見ているとカイゾクが出て来て、自分とある取引をしたらこの地球儀をあげようと言います。その内容は、地政学に関するカイゾクの講義を受け、最終日にテストに合格すること。
そこからカイゾクによる地政学の講義が始まるのですが…。
会話、物語形式で進む地政学を学ぶ教養本です。
カイゾクが兄妹に語り問いかける形で進むストーリーは面白く、とても分かりやすいです。
物語形式なので、覚えようとしなくても自然と頭に入るのが嬉しいポイント。
自国の防衛に関することや、原子力、貧しい国とそうでない国の関係や現実などがとてもよく分かります。
物語の中でカイゾクの話を聞いて兄妹が考えるように、自分だったらどう感じるか、どうすればいいと思うかを考えて感想文にするのがおすすめです。
この本は漫画形式のものも出版されています。
文章を読むのが苦手な方にもおすすめです。
池上彰の君と考える戦争のない未来 池上彰 理論社
戦争とは何か、これまで世界が経験してきた戦争とは、なぜ戦火はやまないのか。
過去の戦争について池上彰さんが分かりやすく解説しています。
過去を踏まえた上で、今の戦争がどういう原理で起きているのか、なぜやめられないのかを考え、戦争のない未来をつくっていくにはどうすればいいかを考えるきっかけになる一冊です。
池上彰さんが10代の子向けに戦争を説明しているため、非常に分かりやすく読みやすいです。
物語の読書が苦手な子にもおすすめです。
資源、領土、宗教、核、政治、ビジネスなど、様々な視点で戦争を考えるきっかけになり、多面的に物事を捉える必要性を学ぶことが出来ます。また、歴史を知ることの重要性も感じることでしょう。
この本を読んで、自分だったらどう考えるか、どんな未来を作っていきたいのかを考えて感想文にするのも良さそうですね。
もし世界が1つのクラスだったら 大橋弘佑・竹流・神野正史 文響社
日本開国から第二次世界大戦後までの日本と世界の流れを漫画で描いています。
一番の特徴は、国を擬人化していること。
擬人化された国たちが通う世界学園を舞台に、国同士の協力や争いを学園の中の出来事として描いています。
ポイントは、物語の中に実際に会った事件や契約、裏切りなどもしっかり組み込まれていること。
読むだけで近代史の流れが自然に頭に入ります。
漫画なので、学校によっては読書感想文には不向きな場合もありますが、考えさせられることだらけなのに非常に読みやすく、分かりやすいので取り上げました。
なぜ、皆が望んでいない戦争に向かって行ってしまうのか、近代の歴史を知ることで自分なりの答えを導きだしてみるのもおすすめ。
過去を学んでこれからに生かせそうなことを自分なりに考えて文章にするのも良いと思います。
この本についてもっと知りたい方がこちら。
学習まんが 世界の歴史18 集英社
各出版社から刊行されている学習漫画の一つで、22年ぶりに全面リニューアル、新学習指導要領にも対応しているシリーズです。
18巻は最終巻で2000年代の始まりからコロナのパンデミックまでが扱われています。
テロとの戦いや、領土の問題、情報社会についてなど、今を生きている私たちに直結する問題をテーマに漫画とコラムで分かりやすく描かれています。
これも漫画なので、学校によっては読書感想文には向かないかもしれませんが、非常に読みやすく、考えさせられることばかりなので選出しました。
問題提起がしやすく、自分の考えも述べやすいので、POP作りや、本の紹介をする授業にも向いていると思います。
この本で扱っている内容や流れを受けて、今のロシアの戦争やアメリカの姿勢を理解し、平和について考えるのもおすすめです。
おわりに

読書感想文やPOP作りは、何を題材にするかでやりやすさが格段に変わります。
文体が親しみやすく、ページ数が少なめなものの中から、
自分の境遇と照らし合わせたり、自分の身の回りにあることと関連付けて考えられたりする本ばかりを選びました。
参考になれば嬉しいです。
ここで紹介した以外にも読書感想文におすすめの物語を紹介しています。
ミステリーやファンタジー、歴史の本もありますよ♪