新年度が始まると、幼稚園や保育園でおすすめされる月刊絵本。
「必ず買わなければいけないけれど、欲しい絵本じゃないし買いたくない」
「子どもが読みたいというから申し込んだのに全然読まない」
などお悩みの方は多いと思います。

私自身、幼稚園では月刊絵本をおすすめする立場にありました。
母になってからは買う立場に。
この記事では、
「子どもには、将来本好きになって欲しい」
という想いを前提とした月刊絵本との付き合い方を考えます。

大手出版社の月刊絵本編集長に話を聞いた経験も交えながらお話します。
この記事では
- 月刊絵本とは
- 月刊絵本のメリット
- 月刊絵本のデメリット
- 月刊絵本との付き合い方
- おすすめ月刊絵本
を保育者の目線を交えながらお伝えします。
月刊絵本とは
各出版社が年齢やジャンルに合った絵本のラインナップを作り、販売しているもの。
主に一か月に一冊、新刊が出版されます。
一年の定期購読の形で申し込みを受け付けており、個人で申し込めるものと、園を通してでないと申し込めないものがあります。
(一冊のみで書店購入できる物もあります)
園によっては購入が必須になっている場合があります。

私の勤めていた園では、子どもたちに良質な絵本に触れてほしい、家でも親子で絵本時間を楽しんでほしいという想いから、福音館書店の「こどものとも」を全員購入にしていました。
沢山のラインナップから、各園が厳選して保護者におすすめしていることもあります。
欲しいものが園のリストにない場合は先生に聞いてみてもよいかもしれません。
月刊絵本のメリット
自分で絵本を選ぶ必要が無い
園で申し込むと、出版社が園にまとめて納品してくれます。
送料や買いに行く手間がかかりません。
年齢や好みに合った絵本が届く
月刊絵本には様々なコースがあります。
年齢や子どもの好み(科学や図鑑)に合わせたもの、名作物語を集めたものなど、
子どもの好みに合わせて選ぶことが出来ます。

我が家では、チャイルド社の「ビックサイエンス」を六年間購読しました。
化学、生物、植物、食品など様々な分野がランナップされているので、様々な分野を知ることが好きだったうちの子にはピッタリでした。
園で楽しむ様子が家でも分かる
新刊の月刊絵本を園でも読むことがあります。
みんなで絵本を読むと、子どもたちが言葉を覚えて大合唱になる部分や、ツボにはまって大笑いする部分があります。
これは、そのクラスの「お決まり」になって、みんなで読むたびに同じ現象が起きます。
園と同じ絵本が自宅にもあると、親子で読んだときに園での様子が垣間見えることがあります。
園のエピソードが聞けることもあるでしょう。
おうちの方にとって日常の園のエピソードは貴重なものですよね。
場所をとらない
赤ちゃん絵本を除いて月刊絵本は主にソフトカバーなので年間12冊でも厚さは3.8センチ。
同じものがハードカバーになると9.6センチになります。
(福音館書店こどものともの場合)
半分以下のスペースで収納できるのは嬉しいですね。
月刊絵本のデメリット
- 子どもが気に入らないことがある
- 年によってあたりはずれがある
- そもそも子どもが読まない
月刊絵本との付き合いで多くの方が悩むのはここに尽きるのではないでしょうか。
一冊の値段は控えめだとしても年間で払うと結構な金額になりますし、兄弟同時となると更に負担は増します。

せっかく買うなら読んでほしい!

読むなら買うのは大歓迎!
私自身もこの思いと戦ってきた母であります。
読書も絵本も大好き、その良さも子どもの育ちもたくさん見てきた私でも
「せっかく買ったのに…読まないな…」
園から帰るなり床に置き去りにされている月刊絵本を悲しく眺めた経験数知れず。
月刊絵本との付き合い方
編集長の話
園で何年にも渡って月刊絵本を見てきた私ですが、同僚とこんな話になることがありました。

今年の月刊絵本はどれもクラスの子どもの反応が良くないね。
これについて出版社の方にお聞きしたことがあります。
お相手は月刊絵本出版社の編集長。
当時、名編集長だった方です。

子どもによっても、年によってもあたりはずれがある気がします。
どうしてでしょうか?

12冊のうち、お気に入りが一冊でも見つかったら素敵なことです。
これには、衝撃を受けたのと同時に感銘を受けました。
決して怠慢な話ではありません。
もちろん出版社としては一生懸命良い絵本を送り出しているけれど、人の好みはそれぞれで子どもだからなんでも好きになるわけではない。
たくさんの絵本と出会って自分のお気に入りを見つけてほしい
子どもたちにたくさんの絵本に出会わせてあげてほしい
という温かいメッセージです。
確かに集団としての反応は良くなくても、その本が好きで「せんせい、よんで」と言う子は必ずいます。
その子にとっては、素敵な出会いですよね。
月刊絵本の役割
月刊絵本は子どもと絵本の出会いの機会を増やす大きな役割があります。
月刊絵本ならではの良さは「自分で選べない」ところにあります。
自分では決して選ばない内容や絵の絵本もやってきます。

この絵本好みじゃないな…。
と思ったら、思いがけず子どもが気に入った!

図書館も本屋さんも大好きで、絵本が自宅にたくさんあった我が家でも月刊絵本を通して素敵な出会いがたくさんありました。
物語の楽しさを知ることは子どもが本好きになる第一歩です。
本を開けばワクワクする世界が待っている、大好きな世界に行ける、この経験が本好きに繋がります。
その第一歩は絵本。
いかにして、大好きな世界に出会えるか、それはたくさんの絵本に出会うこと。
月刊絵本ならではの良さ、利用してみてくださいね。
子どもが月刊絵本を読まない時
- 無理やり読ませない
- 読まないことを責めない
- 子どもに責任を負わせない
『子どもに本好きになって欲しい』のであれば、どれも逆効果です。
目的を見失わないことが大切です。
では、どうしたら良いのでしょう。
おすすめの方法
お父さん、お母さんが読みましょう。
「今月の絵本来たんだね!」と言って、一人で絵本を開いて音読しながら読むと良いです。
読み終わったら大事に片付けますが、ポイントは表紙が見えるように置くことです。
表紙が見える本棚を買う必要はありません。
いつも本を並べている場所に立てかけてもいいですし、家の中の特別な場所に置いてもいいです。
目について気になる場所に丁寧に置いてください。
反応があれば、
「おもしろかったよ」「絵がへんてこだね」「保育園でも読んだ?」
など、率直な感想を述べます。
反応がなくても気にしません。
毎月続けていると、ある時反応が生まれます。
「お母さん、絵本もらったよ、ここに飾っておくね」
なんて言ってくれるかもしれません。
大事なのは、
「お父さん、お母さんがどうやら絵本を楽しみにしているらしい」
ことが子どもに分かることです。
だんだんと絵本を身近に感じる環境が整っていきます。
そして子どもの気持ちが絵本に向いたことを感じたタイミングで読んであげてください。
ポイントは、「読んであげる」ことです。
子どもは、大好きな誰かを通して絵本の世界を楽しみます。
ここがスタートです。
絵本と仲良くなるために焦らずに「絵本の楽しさ」を親子で共有してください。
回り道のようで、一番の近道です。
おすすめ月刊絵本
こどものとも 福音館書店
定番中の定番で保育現場に欠かすことのできないシリーズです。
- こどものとも0.1.2
- こどものとも年少版
- こどものとも年中版
- こどものとも(対象年長)
分かりやすく対象年齢で分けられています。

おすすめポイント
丁寧に作りこまれた物語や言葉選び。
何かを教えこもうとするのではなく、教訓めいたことを提示するのでもなく。
子どもが感じる『間』が丁寧に残されています。
決して派手でなく、今風のはっきりしたイラストでないことが多いですが、
それは、子どもが自分でその世界を味わう余地を残しているということ。
子どもが絵本や本と友だちになるのに最適なシリーズです。
基本的にすべて新作の絵本が届きます。(一部年中版を除く)
すでにハードカバーになり本屋さんに並ぶ人気絵本のシリーズ新作が含まれることもあります。

『こどものともセレクション』という既にハードカバー版として出版されている名作ばかりを集めたものもあります。(園経由でしか購入できません)
絵本をあまり持っていないご家庭におすすめ!
サンチャイルドビックサイエンス チャイルド本社
広げると60センチにもなる大型絵本。
科学、自然、動物、植物、食べ物、乗り物などテーマが幅広く、色々な不思議に触れることが出来ます。
実物大の動物の顔が写真で掲載されているなど、体感で感じることができる工夫がされています。

おすすめポイント
テーマが様々な分野に渡っているため、知識や興味の幅が広がります。
薄くて軽く、簡単にひろげて読めるので、手に取りやすいのが嬉しい。
お子さんがどんなことに興味があるのかを見極めるのにも役立ちます。
その様子を見て、特に興味のありそうな分野の図鑑を購入するのがおすすめです。
子どもに分かりやすいように丁寧に作られているのに加えて、大人向けに解説がついているのも嬉しいポイント。

我が家は6年間購読しましたが、題材の被りなく楽しめました。
小学生、中学生になっても自由研究の題材として活躍しています。
まとめ
「子どもに読書好きになって欲しい」
このためには、子どもが絵本と友だちになる必要があります。
絵本は楽しい、絵本を手にすると嬉しい、そんな思いを育てていくためにたくさんの絵本に触れること。
その機会を与えてくれるのが月刊絵本。
せっかく買ったのに子どもが読まないことも、全ての絵本を気に入らないことも、絵本が身近にあるということは、使い方によって子どもが「本が好き」になるための一歩になります。
どうぞ、お子さんの大好きな絵本、お気に入りの絵本探しに月刊絵本を利用してみてくださいね。