【小学生体験談】字の本は読めない!と断言した子が読書好きになるまで

児童書・小説

「子どもが本を読まない」と悩んでいるお父さん、お母さんは多いと思います。
「マンガや図鑑は読むけれど、物語も読んで欲しいな」と思っている方もいらっしゃるでしょう。

私もその一人でした。
自分自身が本が好きで、子どもたちも絵本が大好きだったのにいつの間にかマンガしか読まなくなっていて悩んだことがあります。

そしてついに、我が子が小学校3年生の頃。子どもから突然の宣言を受けました。

娘

私には字の本は読めない!

内心かなりショックでした。

あれから時がたって、今中学生の我が子はマンガも小説も楽しむ「本好き」に育ちました。
小学校から中学校までずっと毎年図書委員を務めています。
小学校高学年の時には小説を年間100冊以上読み、驚かされたこともありました。

「子どもが読書をしない」
「子どもに本好きになって欲しい」

という想いを抱えた方に向けて、私の失敗談も含めて我が家で実践した方法をご紹介します。
私と同じように悩んでいる方のヒントになれば嬉しいです。

我が子が本好きになったきっかけの児童書紹介まで飛びたい方はこちらからどうぞ。

子どもを本好きに!私の失敗談

自分の読んで欲しい本をおすすめしすぎた

自分が本好きだったがために、自分が小学生の頃に読んでいた本で所持していた大好きな本をおすすめしました。
推しすぎてはいけないという気持ちでさりげなくしていたつもりでしたが、子どもにとっては圧力を感じたのかもしれません。

世間で話題になった「おとなの薦めたい本」や課題図書がこどもにとって魅力的に映るかは難しいところです。
一旦、おすすめしたい気持ちは置いておいて「子どもが自分で読みたいと思える本」を探すお手伝いをするのが良いですね。

時代に合ったイラストの本を紹介していなかった

最大の失敗がこれ。
本が好きな私は、時代の変化とともに移り変わる児童書のイラストの変化についていけませんでした。
はっきりした色彩やきらきら目の登場人物のイラストに、物語を想像する余白がなくなると感じていました。
でも、私が薦める本のイラストは子どもにとっては「かわいくない」「地味」「古い」。
本を手に取ってもらうことすら出来なかったのです。

このままでは、本を読んでもらうことすら出来ない!
読めば、物語の楽しさを知ることができるはずなのに…。
ならば!イラストにこだわってないで子どもが読みたいイラストの本を買おう!

ここがターニングポイントになりました。

そこで購入したのが以下の本たち。

結果…

子どもはどちらの本も楽しく読み、特にナルニア国物語は一巻読んだら次の巻…と連鎖していきあっという間に全巻制覇しました。
物語の内容についても興味深かったようで、「この話どう思う?」などと考察をして楽しむほどでした。

どちらも児童書の名作で、読むと本当に楽しい物語ですが、読んでもらえなければ意味がないな、と感じた出来事でした。
これ以降、私はイラストにこだわることなく、子どもが読みたいと思うものを買うようにしています。

子どもを本好きに!最初のきっかけ

自分が薦めたい本より子どもが興味を持ちそうな本を探した

一旦自分の思いは胸の中にしまって、子どもの好きなものが本になっているものを探しました。
そこで見つけたのがこちら。

ゲームが好きな息子には「星のカービィ」の小説。
歴史が好きな娘には戦国時代のお姫様のお話がかわいいイラストで描かれている本。

これがどちらも大ヒット!
あれから何年経っても何度も何度も読み返している大好きな本です。
「本を読むって楽しい!」と感じるきっかけになりました。

児童書の読み聞かせをした

寝る前の読み聞かせは赤ちゃんの頃から小学生だったこの頃も続けていました。
子どもが読みたい本を一人一冊ずつ、がそれまでのスタイルでしたが、ここに私が読みたい本も加えることに。
自分で読まないなら私が読もう作戦です。

本選びのポイントは

  • 子どもが自分では選ばないけれど、読んだら好きそうな本
  • 子どもが興味を持っているけれど、実際に手に取るまではいかない本

子どもの興味に少しかすっているものが良いです。
本を読むのは基本的に大変な作業で面倒なものでもあるので、「自分で読む」ハードルは高いけれど、読んでもらうなら聴きたいとか、楽しめるということが結構あります。

実際に私が読み聞かせをした本で代表的なものはこんな感じです。

この読み聞かせによって、興味を持ちその後自分でシリーズを読破した本がたくさんあります。
「子どもがその本の世界や物語を楽しむためのきっかけを与えてあげたい」という気持ちで向き合うと良いと思います。

AudibleやKindleを活用した

デジタル世代になじみ深いコンテンツを使うのもおすすめです。

AudibleもKindleUnlimitedも月額料金を支払えば対象作品が全て聴き放題、読み放題というAmazonのサービスです。
私自身がAudibleとKindleを使っていたこともあって、それを子どもたちにも薦めてみました。

どちらも子どもが楽しめるタイトルが充実していて、リストを見ていると「この本読んでみようかな」と思うものが見つかります。
その都度金額が発生せず、合わなかったらやめてもいいというスタンスで「とりあえず読んでみる」が出来るのはとても良いです。

本を持つと「読書!」という感じで身構えてしまう場合も、スマホやパソコン、Kindle端末など子どもにとってなじみ深い環境を用意することで、本を読むハードルがぐっと下がります。

実際に我が子たちは、Kindle端末やAudibleのアプリを面白がり読書を楽しんでいました。
KindleやAudibleで物語に出会い、続きを紙の本で読むこともたくさんありました。
これも、「読書は紙の本でなければ!」という私のこだわりを捨てられたおかげだと思っています。

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小学生・中学生のAudible(オーディブル)の活用方法については以下の記事で詳しく説明しています。
子どもに安心してアプリを使わせてあげられるサービスについても解説しています。

子どもを本好きに!好きを加速させた方法

本だけは日常的に買ってあげる宣言をした

子どもが読みたい本や、子どもが興味を持ちそうな本は買うことにしました。

その理由は、子どもにとって「本を買ってもらう」ことはマンガやゲームを買ってもらうことに比べて優先度が低かったからです。

読んでみたい本があっても、誕生日やクリスマスにリクエストすることはなく、「興味はある」で止まっていることが多いように感じました。

家族会議を行い、みんなの了承を得て、晴れて「読みたい本は家計で買う!」が実行に移されることに。
もちろん、出せる金額には限度もあるので、古本屋や図書館をおおいに活用、ショッピングサイトで貯まったポイントを本購入に充てる、などしました。
図書館で借りて良かったものは本屋さんで買うことも。

この思い切った作戦で、子どもの本好きが加速しました。
まず、本や本屋さんがより身近に。
自分の生活の中に当たり前に本がある、という環境を作れたことはとても良かったです。

毎週末図書館通いをした

何十冊もあるようなシリーズものにはまった時は、全て読みたい気持ちに合わせてどんどん買う、ということは出来ません。
でも、この「読みたい!」気持ちを途切れさせてはもったいない、という気持ちがあったので、とりあえず図書館で借りて読むことをしました。
毎週上限まで借りては読む、の繰り返し。
図書館を活用して「読みたい気持ち」を継続させたまま、少しずつ本屋さんで本を購入して揃えていくことをしました。

「今読みたい!」という気持ちはとても大切です。
すっかり本が好きになってしまえば、ある程度待つことも出来ますが、本の面白さをまさに今知っている、という段階ならば、その気持ちの勢いを途切れさせないように心掛けてみてくださいね。

子どもを本好きに!環境づくり

定期的に読書カフェをひらく

我が家で大好評だったのが、この読書カフェ。
私自身が店主になって読書する専用のカフェを開きました。
飲み物やお菓子を用意し、それぞれが好きな場所で自分が選んだ本を読む。
ポイントカードを作ったり、メニューを用意したり、BGMをかけたり、子どもが「なんだか面白そう!」と思う環境を作ります。

ルールは「本を読む」ということだけ。

普段時間があっても、マンガやゲームばかりで本を読むことが少ない、という場合には有効です。
物語に触れるきっかけになったり、本の面白さを実感するきっかけになったりします。

あくまでも、「子どもが楽しい」と思うことが大切です。
いつもと違う環境で、「本を読んでみようかな」という気持ちになるように演出してみてくださいね。

本の置き方を工夫する

買ってきた本や、前から家にあったけれど今の子どもにピッタリだと思う本は目立つところに置いています。
いつもの本棚だと、意識が向かないことも多いですが、目につくところに置いてあると気になって手にすることもあります。

我が家では、私の本棚の本の前に、表紙が見えるように置いておきます。
時間が経って興味が他に移ったと感じたタイミングで本棚の定位置に戻すことにしています。

新しく仕入れた本をこのようにして置いておくと、「新しい本だー!」と言って手に取ることが多いです。
「こんな本あるよー」というアピールになるのでおすすめです。

我が子が本好きになったきっかけの児童書紹介

ナルニア国物語 ライオンと魔女と洋服だんす C.S.ルイス 角川つばさ文庫 

あらすじ

四人の兄妹が両親と離れ、田舎の風がわりな教授の家に預けられたところから物語が始まります。
家の中を探検してると、末っ子のルーシーが大きな洋服だんすを見つけます。
たんすに入ったルーシーが進んでいくと…なんとたんすの奥は悪い魔女が支配する魔法の国ナルニアに繋がっていました。
命がけの冒険をへて、四人は不思議なライオンアスランと共にナルニア国を救うため、魔女に戦いを挑みます。

イラストだけではなく、訳も新たにされた作品で、非常に読みやすいです。
なるべく、原文に近いニュアンスでの日本語訳がされているそうです。
挿絵もかわいらしく、冒頭にはマンガであらすじが描かれているため、より親しみやすいですね。
全7巻あり、全て関係性のあるお話ですが、毛色がそれぞれ違うので、自分の好みの物語を見つけるのも楽しいです。
色々なことに先入観のない子どものうちに読んで、自由にナルニア国を旅してほしい、そんな物語です。

クレヨン王国の十二か月 福永令三 講談社青い鳥文庫

あらすじ

大みそかの夜、主人公ユカが目を覚ましぼんやりと明るい方を見ると…なんと12本のクレヨンたちが会議を開いていました。
どうやらクレヨン王国の王さまが、王妃の悪い癖が治らないうちは帰らない、といって行方をくらましたらしいのです。ついつい会議に口を挟んでしまったユカ。そこに王妃が現れて…。
王妃とユカは一緒に王さまを探す十二か月の旅に出ます。

普通の女の子がクレヨン王国という世界に入って行く瞬間がなんとも不思議で何度読んでもわくわくします。
十二か月を旅する王妃とユカの衣装がどんどん変わってくところや、それぞれの場所で出会う人たちの不思議さにも心が奪われます。

40年以上前に刊行されていたクレヨン王国シリーズの中で特に人気のあった作品が、新しいイラストで出版されています。元のイラストは淡く優しく描かれている分、想像が広がりとても素敵でしたが、こちらの新しいイラストも派手過ぎず親しみやすい可愛らしさに溢れていますね。

星のカービィ 高瀬美恵 角川つばさ文庫

あらすじ

平和なプププランドで起こる事件を、カービィやワドルディ、デデデ大王、メタナイトたちが解決します。日常の物語から非日常の物語まで、色々なカービィの世界を楽しめます。
オリジナルのお話や、大人気ゲームを小説化したお話、メタナイトが主人公の外伝など、楽しいお話がもりだくさん!

テレビゲームでおなじみの星のカービィが大活躍の物語シリーズ。
イラストもふんだんにあり、ゲームの登場人物たちが大冒険を繰り広げているため、世界観がつかみやすいです。
どのお話にもお馴染みのキャラクターが登場しますが、お子さんが特に好きなキャラクターがクローズアップされている物語から薦めてみるのがおすすめです。

メタナイト好きの息子にメタナイトが主人公の巻をプレゼント。
そこからこのシリーズの夢中になって今ではほとんどの巻を所持し、何度も何度も読んでいます。
息子は小学校1年生から読んでいます。

怪盗クイーンはサーカスがお好き はやみねかおる 講談社青い鳥文庫

あらすじ

飛行船で世界中を飛び回り、狙ったお宝は必ず手に入れる怪盗クイーン。
ところが、クイーンが狙っていた宝石が謎のサーカス団に横取りされる事態が発生します。
サーカス団の目的とは?クイーンは果たして宝石を奪い返すことが出来るのでしょうか。

30代のおとなにもファンが多い怪盗クイーンシリーズ。
独自の美学をもったクイーンに夢中になる人が後を絶ちません。
猫のノミ取りに夢中になっていたかと思えば、華麗に宝を盗む姿には憧れの気持ちがつのります。
クイーンの助手のジョーカーや、敵となる探偵卿など、シリーズが進むごとに魅力的な登場人物ばかり登場するのも楽しいポイントです。

我が家の娘の本好きが加速した作品。中学生の今は、作者のはやみね先生のファンクラブに入るほどの熱狂ぶりです。
それでも最初に紹介した時にはなかなか手に取ってくれず、私が読み聞かせをするところから始めました。少し聞いただけで興味を持ち、後は自分でぐんぐん読み進めていましたよ。
「きっかけ」って大事ですね。

そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎の事件ノート はやみねかおる 講談社青い鳥文庫

あらすじ

中学生の三つ子の主人公のお隣に引っ越してきたのは名探偵。
…のはずなのだが…この自称名探偵は物忘れの名人で、自分がごはんを食べたかどうかさえ忘れる究極のマイペース人間。
夏休み。町の遊園地で次々に子どもが消える「怪人伯爵事件」が発生します。この謎を名探偵夢水清志郎は解決することが出来るのでしょうか。

ぐうたらな名探偵が事件に挑み、ひょうひょうと解決していくカッコよさが癖になる作品です。
トリックや伏線の張り方はしっかりミステリ調で、この作品をきっかけにミステリ好きになったという大人も多いでしょう。
一風どころかすべてが変わっている名探偵が主人公で、笑える場面もありつつ、シリアスに問題と向き合う場面もあって心が動かされるシリーズ作品でもあります。

なかなかに本格的なミステリ作品で、時折怖がりながらも娘がミステリの面白さを存分に感じた作品となりました。
小学校高学年から楽しめます。

パスワードは、ひ・み・つ 松原秀行 講談社青い鳥文庫

あらすじ

主人公のマコトがある日パソコン画面で「電子探偵団」のページを見つけます。それが、ワクワクする毎日のはじまりでした。
それぞれ違う学校に通う5人の電子探偵団員が、たくさんの推理パズルを解きながら、ついには本物の事件を追うことに。
電子探偵団のメンバーは無事事件を解決することが出来るのでしょうか。

パソコン上のやりとりから始まる電子探偵団。
初めは面識の無かった団員が顏をあわせて一緒に事件解決に向かう場面はハラハラドキドキの連続です。電子探偵団と一緒に謎解きをしながら楽しめるシリーズです。
30年ほどに小学生に人気だった「ズッコケ三人組」シリーズに似たような雰囲気の作品で、多くの小学生が一緒に冒険した気分になれること間違いなしです。

時代を超えて楽しまれている物語で初めの方の作品は時代に合わせて改訂版が出されています。
我が家では改訂版があるのものは改訂版で揃えています。
改訂版が出ていないものは手に入らないものもあって、古本屋さんを何件も回って集めました。もし、古本屋さんで見かけたら購入チャンスです!

おわりに

子どもに本を読んで欲しい、本が好きになって欲しいという親の思いは、残念ながら簡単に報われるものではありません。

子どもが本を読むようになるのは、「本を読むと楽しい」ことを知るからです。
だからまずは、マンガであろうと図鑑であろうと、本に触れて親しんで本と仲良くなって欲しいと思います。
マンガや図鑑だけしか読まないことを決して責めたりしないでください。ぐっと我慢です。

そして「物語を楽しむきっかけ」が子どもにうまくはまる瞬間があれば、子どもは物語に親しむようになります。
もどかしい時間も多いですが、子どもの好みやタイミングに合わせて、物語を楽しむきっかけを与えてあげられるようにしたいですね。我が家の経験がそのための参考になったら嬉しいです。

小学校低学年の子の読書嫌いの克服方法や、おすすめ本をまとめた記事がこちらです。
興味のある方は併せてご覧ください。

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自宅の絵本・児童書蔵書数1000冊以上
読書好きの元幼稚園教諭による子どもの本選びお助けサイト

「絵本の選び方がわからない」
「子どもに本を読んでほしい」
など、子どもと読書にまつわるお悩み解決ヒントをお伝えします。

中学生・小学生の我が子の子育て経験からの実例もご紹介。

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