「子どもには本を読んであげたほうがいいというけれど、いつまで読んであげればいいの?」
「うちの子、もう字が読めるのに自分では読みたがらないんだけど…」
そんなお悩みありませんか?
何歳まででも読んであげてOKです。

実際我が家では、娘が小学校6年生の時にも読み聞かせをしていました。
そうは言っても、読み聞かせは大変だと感じる方や、そもそもやり方が分からないという方もいらっしゃるでしょう。
また、なぜ字が読めるようになっても読み聞かせが必要なのでしょう。
この記事では、元幼稚園教諭で自身も子どもも読書好きの二児の母である著者が、
- 読み聞かせの良さ
- 読み聞かせの方法
- 我が家の読み聞かせ大好評本
をご紹介します。
何らかの理由で読み聞かせに義務感・苦痛・プレッシャーを感じている方は併せて以下の記事も参考にしてください。具体的な対策から気持ちがほっとする情報までお伝えしています。
読み聞かせの良さ
時間の共有
公園に連れて行ったり、一緒にお料理をしたりするのに比べて、絵本一冊を読むのには時間がかかりません。
短い時間でも家の中でも子どもと同じ時間を過ごせることは、忙しい親にとってありがたいものです。
寝る前に「一人一冊ずつね」と好きなものを選ばせてあげられるうえに、寝かしつけにかかる時間も大体読めるというおとな側の都合も満たしてくれます。
子どもは、お父さんやお母さんが忙しいことはよく分かっています。
そんな中でも、自分が選んだ絵本を読んでくれたという「うれしい気持ちの貯金」は子どもの中にしっかりと貯まっていき、お父さん、お母さんが本当に大変な時にその貯金をつかって助けてくれるのです。
忙しい毎日の中で、子どもに「うれしい気持ちの貯金」を渡すには絵本はとてもおすすめのツールです。
子どもの感じ方を知ることができる
子どもは、こちらが予想しない感じ方をすることが多々あります。
大多数のおとなの予想をあっけなく覆してくれるのが子ども。
- 主人公にまっすぐ共感する子
- 相手の挙動に注目してそちらの背景を慮る子
- 空の色に注目してもうすぐ雨がふりそうだから帰ったほうがいいよねという子
- テーブルに食べ物が置いたままだからパパがあとから食べるんだろうねという子
絵本を読んでいる時間は比較的穏やかなので、おとな側にも子どもの言葉に注目する余裕が持てます。
普段は忙しくてじっくり子どものことを見つめられないという方も、
我が子がどんな感じ方をしているのか、どんなことに興味があるのか、を知ることが出来ます。

保育現場でも子どもからの思いがけない一言に驚かされます
ぜひ、お子さんの絵本を見つめる目、発する言葉に注目してみてくださいね。
言葉と触れ合える
絵本の良さは、言葉の引き出しが増えることです。
言葉は日々進化していて時代とともに移り変わります。
支障なく日常会話が出来る言葉はもちろん、本でなくても獲得できます。
けれど…

なんとなく表現したい感情
なんとなく肌に触れた季節の空気
触れたことのない手触り
これらの言語化に苦労したことはありませんか?
「この柿はしぶい」
「コトコト」
「しとしと」
「シャクシャク」
使えなくても困らない、けれど知っているとより感情や考えを豊かに表現できる言葉。
絵本や本ではそんな言葉に簡単に出会うことができます。
自分で本を読むきっかけになる

「読み聞かせが自分で本を読むことに繋がるのか」
ということについて考えてみましょう。
結論は、繋がります。
「自分で本を読む」ことはとても大変な作業です。
テレビやyoutubeは座っているだけで情報が入ってきます。
けれど本は、自分で文章を読まなければなりません。
その上、文章から人と人との関係を推測して覚えたり、身なりや環境、時代を想像したりすることが必要です。
本好きのおとなでも苦労します。
それを子どもがするのは簡単なことではありません。
そこで登場するのが読み聞かせ。
字が読めても読んであげるのです。
自分では読まないけれど読んでもらうと夢中になります。
途中まで読んであげると先が気になって自分で手に取ることがあります。
手に取るまでいかなくても、「あの話の続きってどうなるの?」と興味を持って話しかけてくることもあります。
そこがチャンスです。
ぜひ、年齢を気にせず読み聞かせをしてみてくださいね。
読み聞かせの方法
保護者の方から「どうやって絵本を読んだらいいですか?」という質問を受けます。
お父さん・お母さんの声でそのまま読んでください。
登場人物になりきる必要も、プロのナレーターのように美しく読む必要もありません。
書いてある文章をそのまま声に出して読めばいいのです。
引っかかっても間違えても何の問題もありません。
子どもは大好きな人の声で読んでもらえるだけでじゅうぶんです。
子どもの「えほんよんで」は、純粋に物語を楽しみたい気持ちももちろんありますが、
お父さん、お母さんとの時間を過ごしたいということが往々にしてあります。
それに応えるだけで100点満点です。

私は、絵本は読み手の感情を入れすぎずに読むのが好きです。
感情を入れすぎると、
子どもたちそれぞれが感じることが出来るはずの幅を狭めてしまうからです。
絵本の読み聞かせイベントに行くと、登場人物になりきって感情表現豊かに読む姿を見ることもあるでしょう。
それは、その場限りの不特定多数の子どもを惹きつける必要があるから。
自分と信頼関係のない子どもに楽しんでもらうための手段でもあります。
それをお父さん、お母さんがする必要はありません。
どうぞ、ご自分のままで、ご自分の読みやすいように読んでみてください。
もちろん、なりきって読むのが楽しい方はそうしてくださいね。
(我が家の夫はいつも盛大になりきっていました)
我が家の読み聞かせ大好評本

絵巻えほん 11ぴきのねこ マラソン大会 馬場のぼる作 こぐま社
『11ぴきのねこ』はご存じの方が多いと思います。
これは一味も二味も違う作品。
タイトル通り、11ぴきのねこがマラソン大会をするのですが、なんと文字が一つもありません。
そして、ページがどどーんと広がり、絵巻物のようになるのです。
とにかく細かく、ねこたちのマラソン大会の様子が描かれています。

これを我が家の息子が気に入り、毎晩「読んで」という時期がありました。
字のない本を読む、ということは…
母の創作ストーリーになるわけです。
楽しくもあり、修行のようでもありました。
読みながらの子どもとのコミュニケーションは楽しく、時には子どもが読むのを聞いて大笑いしたのも良い思い出です。
眺めているだけでも飽きず、色々な楽しみ方の出来る一冊です。
ぼくはアフリカにすむキリンといいます 岩佐めぐみ作 偕成社
我が家で最高にハマった一冊です。
アフリカにすむキリンくんが退屈な毎日にしびれを切らし、どこかにいる誰かさんにお手紙を書きます。
そこから、意外な場所の誰かさんと繋がって…。

応援したくなるキャラクターの愛らしさ。
クスっと、そしてどっかーんと笑えるストーリー。
我が家では親子三人でお腹を抱えて笑いました。
現在シリーズ6巻刊行されており、一冊読むとすぐに次が読みたくなります。
やさしくてかわいくて笑える、素敵な物語。
自分で読むには小学校低学年くらいですが、読み聞かせなら未就学児から小学校高学年まで幅広く楽しめる一冊です。
注文の多い料理店 宮沢賢治著 新潮文庫
言わずと知れた名作。
この新潮文庫版にはいくつものお話が収録されており、『注文の多い料理店』はその中の一作です。
これは、私の読み聞かせ経験の中でも最高の経験。
我が子が小学校中学年と低学年の時、寝る前に読みました。

初めはふんふん、と普通に物語を楽しんでいた子どもたち。
最初に上の子が何かに気が付いた模様。
最後のほうになって下の子が「はっ」と息を飲みます。
それぞれの感じ方や成長を感じた瞬間。
言葉だけで想像を膨らませて夢中になる姿がとてもかわいく、印象的でした。
古い物語なので、子どもが自ら手に取るのは難しいかもしれません。
こんな時に読み聞かせはピッタリ。
時代を超えても愛される物語は、色褪せず今の子どもも楽しむことが出来ますよ。
他の収録作では、『どんぐりと山猫』も読み聞かせにおすすめです。
たのしい川べ ケネス・グレーアム作 石井桃子訳 岩波書店
こちらは我が子が小学校高学年と中学年の時、寝る前に読み聞かせをしていた本です。
人里離れた静かな川辺で素朴な暮らしをしている動物たちの物語。
生活を楽しむモグラやカワウソ、そしてわがままなカエル。
ちいさな動物たちが繰り広げる生活をおなじく小さな目線で楽しむことができます。
文章量が多く、一人で読むのはなかなか大変。
でも読み聞かせなら小学校低学年の子も楽しめます。

豊かな表現に身をゆだねて心地よい時間を過ごせます。
聞いている子ども自身も、小さくなって川辺にお邪魔しつつ、そのままうとうとと夢の中にいけるような、寝る前の読み聞かせにおすすめの物語です。
おわりに
お父さん、お母さんになるだけでも大変、毎日忙しい。
その上、子どものために読み聞かせが大事だと育児書には書いてある。
これまで読書になじみのなかった方、誰かに本を読んだ経験のない方、感情表現が苦手な方にとっては、簡単ではありません。

実際、「自分が読み聞かせをしてもらった経験がないからどうしたらよいのか分からない」というお父さん、お母さんに何人も出会ってきました。
読み聞かせは、書いてある文章をそのまま読めばいいのです。
読みながら、子どもの顔を見てみてください。
子どもの声に耳を傾けてみてください。
その時間が親にとっても子どもにとっても宝物になります。
どうぞ絵本という完成された世界を使ってお子さんとの宝物を積み重ねていってください。
もっと具体的に絵本選びや、読書好きになるまでの実践例が知りたい方はぜひ、他の記事ものぞいてみてくださいね。
